新公益法人制度 ズバリ詳細解説2 −新しい法律の内容から−
2006年5月12日

非営利法人総合研究所(NPO総研)
CEO兼主席研究員 福島 達也

 新公益法人制度を定める法律のねらいとは?
 新しい公益法人体系を定める法律は3つ。公益法人は「一般」か「公益」に分別。
 中間法人はなくなり、NPO法人はそのまま存置。

新しい法律の主なねらい

 この法律制定に先立って、国会では公益法人制度改革関連法案について5項目の附帯決議が採択されました。附帯決議では、行政改革を進める上で、「民間が担う公益」の重要性がますます増大すること、そしてその担い手である非営利法人の役割が今後の我が国の社会を活力あるものとするには不可欠であることを強調しています。

 そして、新しい公益法人制度改革関連三法の施行に当たって、この法律の立法趣旨や各条項の解釈について、公益法人等の関係者を中心に十分周知徹底することを明言していますが、この法律を評価しない専門家が多い中で、どこまで理解を得られるのか、円滑にスタートできるかに注目が集まりそうです。

 また、今後一番の争点になりそうな、公益性の認定を行う「公益認定等委員会」の運営については、委員会の中立性・独立性に配慮するとともに、専門的知見に基づく判断を可能とするよう、その構成等に万全を期することを強調していますが、一体誰がどうやってメンバーを選定するのか、その選定手法などによっては、形骸化しかねないと予想されます。

 さらに、委員会を担当する事務局が、結局天下りの温床だったり、公益認定に影響力を持ったりするのではないかという懸念があるのも事実です。そこで、担当事務局は委員会が行う認定審査や監督に遺漏がないように適切に補佐するだけでなく、主務官庁による許可主義を廃止した今回の改正の趣旨を十分に理解して、公益性の認定に際しては、担当事務局の影響力を排除するよう留意すべきと明言していますが、黒子に徹することができるのか、影響力を完全に排除できるのか、このあたりは国民の厳しい目で注視する必要がありそうです。

  そのほか、現行の公益法人が新制度下に移行するに際、これまでの活動実績を積極的に評価するなどの配慮を行うこととし、この法律制定と同時に定める政令や府省令の制定に際しては、公益法人などの関係者や国民からの十分な意見聴取を踏まえて、立法趣旨に適合するよう、適切に定めることとしています。


<附帯決議全文>


 行政改革を進める上で、「民間が担う公益」の重要性がますます増大し、その担い手である非営利法人の役割が今後の我が国の社会を活力あるものとするには不可欠であることにかんがみ、政府は、公益法人制度改革関連三法の施行に当たっては、次の諸点について十分配慮し適切な措置を講ずること。
1. 本法の立法趣旨や各条項の解釈について、現在、社会の各所で公益活動に従事している公益法人等の関係者を中心に十分周知徹底すること。
2. 公益性の認定を行う公益認定等委員会の運営に関しては、その重要性にかんがみ、中立性・独立性に配意するとともに、専門的知見に基づく判断を可能とするよう、その構成等に万全を期すること。また、事務局については、委員会を適切に補佐し、認定の審査および事後の監督に遺漏なきよう、その体制の整備に努めること。ただし、主務官庁による許可主義を廃止した今回の改正の趣旨にかんがみ、公益性の認定に際してはその影響力の排除に留意すること。
  なお、現行の公益法人が新制度下で公益法人に移行するに際して、これまでの活動実績を積極的に評価するなどの配慮を行うこと。
3. 本法に定める政令および府省令の制定に際しては、本委員会における審議および公益法人等の関係者を含め広く国民からの十分な意見聴取を踏まえ、上記の立法趣旨に適合するよう、適切に定めること。
4. 一般社団法人および一般財団法人に対する法人所得課税のあり方に関して、当該制度に包含される法人の性格の多様性に配慮した適切な税制の導入を検討するとともに、公益社団法人および公益財団法人に対する法人所得課税および寄附金にかかる税制に関して、適正な規律の下、民間の担う公益活動の促進および寄附文化醸成を図る観点から、新たな制度における第三者機関による統一的な公益認定を受けた法人について、適切な税制上の措置を講ずること。
5. この法律の状況に変化が生じたときは、広く国民の意見を聴き、直ちに見直しを行うこと。


非営利法人総合研究所

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